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アトピー

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アトピー性皮膚炎も含まれる湿疹皮膚炎の診療においては、原因を探し出して取り除くのが最も効率の良い治療になります。病気の原因や悪化の要因を知るために患者さんが持っている情報、つまりこれまでの病気の経緯を詳しく教えていただきます。貴重な情報でも患者さんはそのことに気づいておられないことが多く、検査や介入試験を行い確認しながら調ベていきます。

なぜアトピー皮膚炎は再発をくり返すのか?

アトピーという奇妙な病気がなぜ起こるのか?を考えてみましょう。そのために「皮膚炎にはそれを起こす原因がある」と仮定してみます。原因が何かは分からなくても存在し、そのせいで皮膚炎が起きていると仮定してみます。

原因→(結果としての)皮膚炎

ケースA

もし原因が何か分かったら、それを避けるような行動をとります。
その結果、皮膚炎は二度と起こらなくなります。

ケースB

その人は皮膚炎の原因が何か分りません。だから原因を避けることができません。
皮膚炎を起こす原因と毎日遭遇しても、数年に一回遭遇するにしても、皮膚炎の原因だと知らないので避けようとしません。
その結果皮膚炎を繰り返します。
その人にとっては何故だか分らないけれど皮膚炎に突然襲われるのです。
アトピー皮膚炎はケースBなのです。
「いつからかゆくなったのですか?」「いつ頃から皮膚炎が始まったのですか?」という質問は皮膚炎を悪化させる要因がどのくらいの間隔で襲ってくるのかを知るための問いかけです。

この質問に「ずーっとアトピーです」「前からです」と答える方がおられます。これは膚炎を長い間繰り返してきているという意味です。
「先週からかゆくなりました」と答える人もいます。今回かゆみが強くなったのはその頃から、という意味です。

患者さんとの会話の中で発症年齢(赤ちゃんの頃、あるいは中学生の頃)、一度起こった皮膚炎の持続時間はどのくらいか、かゆくない時期はあるのか等を聴き取ります。そして皮膚炎悪化の原因を考えていくのです。「いつから?」という質問は重要な意味を持っています。すぐに思い出せなくてもかまいません。何度かお会いする過程で大事な情報が得られることもあります。

皮膚炎を悪化させる原因は一つではない

アトピー皮膚炎の患者さんの皮膚炎悪化の原因はひとりひとり違います。
1人の患者さんが複数の悪化要因をもっていることもあります。

原因→(結果としての)皮膚炎

ケースC

皮膚炎が始まったのは生後6ヶ月頃。
薬を塗らなくてもかゆみの無い時期もあるが、年に2回か3回ひどくかゆくなる。

ケースD

赤ちゃんの頃はかゆがっていたが小学校に入学するまでには皮膚炎は気にならなくなった。
でも中学生の頃から再び皮膚炎が始まり、数年間続いている。
薬を塗れば良くなるが、塗るのをやめるとすぐにかゆくなる。

ケースCとケースDでは皮膚炎悪化の原因は同じではないでしょう。
発症の時期、出方が異なるので、原因も違うはずです。
ケースDでは赤ちゃんの頃と中学生の頃では原因は同じではないかもしれません。

ケースE

赤ちゃんの頃から年に数回ひどく悪化し、必ず体のどこかに皮膚炎は存在していた。しかし症状は軽く、普段は我慢できないほどではなかった。
仕事を始めた頃から皮膚炎の程度が激しくなってきた。ここ数年は顔の赤みが消えることがない。
数日前から上半身に今までに経験したことがないほど激しい皮膚炎がある。

この場合悪化要因は複数あるはずです。軽い長く続く皮膚炎を起こした原因と急な悪化を起こした原因は異なる可能性が高いです。

この方に今までの経過を尋ねても、「ずっとアトピーだった」「何歳から皮膚炎があったかなんて覚えていない」という答でしょう。無理もないと思いますが、原因を考えるために手がかりを見つけていきます。

最初はわからなくても、注意して生活していると今まで気がつかなかったことが見えてきます。
何に注目するかはケースバイケースです。

当事者である患者さんが覚えている出来事を、皮膚科専門医の知識で検討すれば今まで見えなかった事が見えてきます。